韓国人採用を行った企業と、採用された韓国人スタッフのVOICE 第1弾.

佐賀県武雄市にあるセントラルホテル武雄。決して都会のビジネスホテルとは言えないホテルが、
4年前の韓国人スタッフの就労ビザでの正社員での採用をきっかけに、インバウンド集客を加速。
韓国からの宿泊客を以前の
10倍に増やすことに成功した。

採用を行った企業と、採用された韓国人スタッフの、それぞれの採用時の想いと、現在の姿をレポート。
セントラルホテル武雄を運営する(有)武雄ボウリングセンター 代表取締役 山口修代さん、同取締役 ホテル事業部長 営業統括部長 山内 茂樹さん、
そして4年前に採用となり、現在はセントラルホテル武雄 支配人 インバウンドチーム チーム長 金 英勲さんにインタビューを行った。

 

―代表の山口さん。取締役の山内さんにお伺いいたします。

まず、韓国人スタッフの就労ビザでの正社員採用を始めようと思ったきっかけを、聞かせてください。

地元の佐賀県では、2013年12月からのティーウェイ航空の佐賀-ソウル(仁川)線でのLCCの就航をきっかけに、
県や市などの行政を通じて韓国への地域の売り込みの機会があり、ホテルの稼働率をあげるためにも、
韓国からのインバウンドの強化を社内で掲げていました。

インバウンドでの集客強化のために、韓国の旅行会社へ営業に行くわけですが、
その当時は、日本人のスタッフだけで韓国の旅行会社に営業に行っても、弊社も旅行会社も今一つぴんとくる事もなく、
なかなか話がかみ合わなかった状況でした。どうしたものかと思って、これは韓国人スタッフを採用してみようと。

 

―御社は4年前のその当時、(株)ホスピタブルが運営を行う韓国での合同説明会に参加いただいたと思います。面接の段階で感じたことは?

一言でいうと、期待以上でした。現在は2名の韓国人スタッフが在籍していますが、
韓国での合同説明に参加した際にお会いした韓国の求職者は、語学力が高い。

英語・日本語・韓国語3カ国語を使える方は、日本人にはなかなかいないと思います。
はじめは、韓国人スタッフ来てていただいて、韓国の旅行会社との窓口や、ホテルに来られるお客様へのインフォメーションの役割をイメージしていました。

 

―採用が決まって、他の日本人スタッフからの反応はいかがでしょうか?

はじめは、韓国人スタッフの採用を決定したことを社内の日本人スタッフに説明すると、すごく抵抗感がありました。

具体的には、「日本語は話すことができるのか?」「会話をすることは出来ても、読み書きはできるのか?」。
そして業務を行うわけですから、「日本のフロントシステムを使えるようになるのか?」「伝票は、しっかりと書けるのか?」など、
本当に採用して大丈夫かという意見が、現場のスタッフから出ていました。

 

―入社後、日本人スタッフはどういう反応でしたか?

入社いただいた韓国人スタッフは、全く問題なく業務を覚えて、こなすことが出来るので、「こんなに出来るのか?」と周りの日本人スタッフがびっくり!していました。
日本人スタッフも、自分たちの力不足を再確認し、影響されたと思います。
英語であったりと、もっと勉強しないとダメだなと。想像以上の相乗効果が生まれました。

その後、社内で、次の韓国人の方の採用の予定の話をすると、以前と違って、スタッフからの抵抗感は全く無くなり、
むしろ早く採用して欲しいと言われるようになりました。

 

―どういった効果が生まれましたか?

5年前では、韓国からの宿泊客は1000人ぐらいで、団体のお客様も少なく、個人旅行のお客様がほとんどで、とても少なかった。
韓国人スタッフが入社したことで、韓国の旅行会社への営業も加速していき、
商談がかみ合いはじめて、旅行商品を作りましょう!という話になりました。

現在までに旅行会社との取引も6社に増え、年間1万人を超える集客を実現することができました。
宿泊者数に占める韓国からの旅行者も約15%にまで増えており、稼働率の向上に繋がっています。

 

―ここからは、4年前の韓国での合同説明会に求職者として参加し、入社した韓国人スタッフの金さんに
お話しをお伺いしたいと思います。働く前に感じていたことは?

日本での就職が決まる前は、韓国でのアルバイトなど就労経験もあったので、
日本の会社に就職しても、韓国と日本で、違いは無いと思っていました。

しかし、実際日本に来て働いてみると、法律も少しずつ違い、仕事の進め方も少しずつ異なるので、
自分の中でイメージしていた仕事のやり方とは少しズレがありました。

 

―具体的にはどういった違いがありましたか?

一つの例では、韓国では、契約書から社内の書類など、大体の書類はハンコを使わなく、
サインで決済しますが、日本では、ハンコを使わないといけない!ということ。
後に残る書類を残すのが、日本では重要視されていることが多いと思いますが、韓国では、書類を残す習慣が少ないと思います。

細々とした違いは、日本と韓国は違うので、基本的には受け入れようと思って仕事をしていました。
日本での働き方や仕事の進め方を受け入れていけば、スムーズに前向きに仕事が進むことも実感しています。

 

―4年前に入社をされて、今では支配人にまで昇格されている金さん。将来のキャリアの目標は?

私は、日本で最初の就職した現在の会社で、支配人をさせていただいています。
外国人である為に制限も多少ある中で、せっかく異国の日本で働いていますので、どんどんステップアップしていきたいと思っています。最終的には社長を目指したいと思っています。

 

―改めて、代表の山口さん。取締役の山内さんにお話しをお伺いしたいと思います。

私は、日本の大学の学生とも面談を行ったりしています。
ここまで優秀な人材は、ここ最近出会う事が難しいように思います。
採用を行う企業の立場から、採用についてどういったことを感じていらっしゃいますか?

地方の中小企業では、日本の学生で、前向きで優秀な人材とめぐり合うチャンスは、そう多くはないと思います。
韓国の求職者と話をしていると、日本語・英語・韓国語を話せるバイリンガルを活かせる仕事をしたいといったときに、
企業側が、やりがいのある仕事である事を伝えることができれば、佐賀県の私どもの会社でも、
韓国から来ていただいて、楽しいと言ってもらって、実際働いていただいている。

採用させていただいた韓国人のスタッフが、実際には、マネージメントの素養を持った方で、
数年後には実際に支配人にもなっていただける方だったので、組織力の底上げにも繋がっています。

 

―韓国人の採用での成功の秘訣があったりしますか?

実際に過去に採用した韓国の方で、失敗したケースもありました。
面接の時はやる気があって、いい方だなという事で採用し、男性の方に入社をしていただいたのですが、わずか1ヵ月で退職をされました。

というのも、年齢も少し高く、中途採用の方で韓国での就労経験もある方だったのですが、
実際働いてみると、カルチャーショックがあって、住環境の違いもあって、
田舎町のホテルですので、彼も来て観てびっくりだったと思います。それもあって、退職となりました。

正社員で契約する前に、一回実際に日本まで来ていただいて、職場体験もしてもらって、お互いが納得して、というのが望ましいと思います。

 

―今後も韓国人の採用を継続されますか?

域の方々から「いいスタッフが入られましたね」とも言っていただけるようになりました。
武雄市に市報に、韓国人の支配人ということで、当ホテルが掲載されたのですが、地域の方々がホテルを訪れて、
「あなたが韓国人の支配人か」と愛情を持って接していただいたり、地域の飲食店さんが、
ホテルまでメニューブックを持って来られて、韓国語に翻訳して欲しいと訪れる方がいらっしゃったりと、そういう地域とのつながりも増えました。

いまのところ、恵まれた方に入社していただいていて、いい方向にいっていると思いますので、今後も継続して採用していこうと思っています。

 

■有限会社 武雄ボウリングセンター
所在地:佐賀県武雄市朝日町大字甘久1331
代表取締役:山口 修代

■今回お話をおうかがさせていただいた、セントラルホテル武雄を運営する(有)武雄ボウリングセンター 代表取締役 山口修代さん(写真中央)、同取締役 ホテル事業部長 兼 営業統括部長 山内 茂樹さん(写真左)、セントラルホテル武雄 支配人 インバウンドチーム チーム長 金 英勲さん(写真右)

 

■佐賀県武雄市にあるセントラルホテル武雄。武雄温泉駅より徒歩1分の立地で、佐賀空港からは車で約54分。
近隣には、ハウステンボス(車で約45分)や、武雄温泉「楼門」(徒歩15分)などが存在する。

 

■韓国での合同説明会での様子。当日は、求職者の方々へ、自社の魅力を熱意をもって伝える姿が印象的でした。

<インタビュアー (株)レインボー 田原卓哉、文・構成(株)レインボー 伊藤諒>